働き方の多様化、そして慢性的な人材不足という背景からますます増加するフリーランス。
厚生労働省が公開している「フリーランス白書 2018」によると、Webデザインやライティングといった「IT・クリエイティブ系」の次に母数が多いのが、「コンサルタント・カウンセラー系」の職種となっています。
そもそもフリーランスのコンサルタントとはどのような仕事をするのか。企業から求められるスキルや案件はどういったものがあるのか。そして案件紹介サービスそれぞれにどのような違いがあり、どのように選べばよいのか。
この記事ではフリーコンサルタントの様々な疑問に答えていきます。
クライアントの課題を明らかにし、解決へ導く
〜そもそもコンサルタントとは〜
近年、様々な場面で「コンサルタント」という肩書きが見られるようになりましたが、そもそもコンサルティングとは一体どのような業務なのでしょうか。
英語でコンサルタントの動詞にあたる「consult」に「(専門家に)意見や助言を求める、相談する」という意味があるとおり、「相談に乗ること」がコンサルタント業務の基本的な要素です。一般的にコンサルタントとは「クライアント(企業、官公庁)の経営上の課題(事業戦略や財務、組織など)を明らかにし、それを解決するための助言を行い、クライアント企業の発展を支援する」職業だと解されています。
つまり、この「分析から提言」のプロセスがコンサルタントの商品と言え、業種の分類としてはサービス業にあたります。
現在では、コンサルティングファームや個人で活動しているコンサルタントによって、その業務範囲は多様化しており、企業の課題を「分析・解決策の提言」のみを行う場合のほか、助言だけではなく、新たな業務プロセスや新システムの設計・導入の支援といった「実行」、さらには導入した業務プロセス・システムの効果測定・改善や新システムの長期的な運用を含む「定着」までを請け負うコンサルティングサービスを提供している場合もあります。
自分の意思で案件を選ぶ
〜フリーコンサルタントという働き方〜
コンサルティングファームと「雇用契約」を結んでいるコンサルタントと、クライアントと直接「業務委託契約」を結ぶフリーコンサルタント、その違いはどこにあるのでしょうか。
まず、収入の金額が大きく変わります。
ファームに属するコンサルタントの場合、クライアントへ請求する人月単価の額面から、ファーム管理部門の諸経費といった販管費が引かれた上で給料として支払われます。一方、業務委託としてクライアントと直接契約しているフリーコンサルタントの場合、販管費を自分自身の判断で調整した上で、コンサルティングフィーを事業収入とすることができます。フィーの金額はクライアントや業界、担当する業務によって変わってきますが、フリーコンサルタントの方が案件あたりの収入は断然高くなります。
もう1つの大きな違いが、案件を自分の意思で選べるかどうか、です。
正社員のコンサルタントはファームの上司(パートナーやマネージャー)の判断でアサインされる案件が決まります。その際、自分の意思よりも、その案件に適したスキルセットか、そして結果を出せそうかでアサインの判断がなされることが一般的です。しかし、フリーランスとして活動しているコンサルタントであれば、その案件を受けるか受けないか、最終的な判断は自分自身で決定することができます。
自分の意思で案件を選び取ることが出来る一方、デメリットもあります。
いつ何時でも希望する案件に出会えるとは限りませんし、出会えたとしても、案件で要求されるスキル・経験が不足していることや条件の悪い案件の場合もあります。そのため、直接発注がもらえるクライアントのほか、フリーのコンサルタントはセーフティネットとしてフリーランス同士の横のつながり(人脈)を構築し、人づてに案件を紹介してもらえるようにしておくことが必要です。
ただし、自らの人脈の中で流通している案件ばかりに頼ってしまうと下記のような問題が発生する可能性もあります。
- 案件に偏りが出てしまい、新しいチャレンジができなくなってしまう
- 自身の稼働が空いているタイミングで受けたい/受けられる案件の相談があるとは限らない
こうしたことから横のつながりだけでなく、フリーコンサルタント向けの案件紹介サービスに登録し、市場にどのような案件が出ているのか、アンテナを高くし情報を収集することも同様に重要だと言えます。
今回はそんな「フリーコンサルタント向けの案件紹介サービス」を5つピックアップし、それぞれのサービスの特徴をまとめました。フリーコンサルタントへのジョブチェンジを考えている方、実際に案件を探している方はぜひ参考にしてみてください。
フリーコンサルタントマッチングサービス
その選び方のポイント
「フリーコンサルタント向けの案件紹介サービス」をピックアップする前に、そもそも何を基準に比較を行えばよいのでしょうか。もちろんご自身の状況や好みで選択するもの1つですが、以下の点で比較検討を行うと、より客観的に判断することができるはずです。ぜひ参考にしてください。
1:【案件数】十分な案件数を揃えているか
コンサルタントにとって自分に合った案件を受注するためには、ある程度の数の案件の母数が必要です。
そしてその母数が多ければ多いほど、複数の案件を比較検討を行うことができます。つまり案件数が多ければ多いほど、自身に最適な案件に出会える確率が高くなると言えます。
2:【案件の種類】どのようなタイプの案件を抱えており、また、強みがあるか
フリーランスコンサルタントの案件には「戦略系」「業務系」「IT系」「PM・PMO」など、様々な種類があり、サイトごとにそれぞれ強みがあります。
自分が受けたい案件、挑戦したい案件をより多く掲載しているサービスを選びましょう。
3:【案件の質】案件の報酬や条件は適切か
案件の報酬と条件は様々です。だからこそ、自分にとってその案件は適切な報酬か見極めることが重要です。
4:【使いやすさ】ウェブサイトは使いやすいか
ウェブサイトから簡単に会員登録ができるか、自分が受けたい案件に絞って検索できるかといったウェブサイトの使いやすさも大きなポイントです。
5:【その他】フリーコンサルタントに対するサポートサービスは充実しているか
特にフリーランスとして初めてコンサル業を行う方にとって、業務委託契約の内容の検討や確定申告など、全て自分でこなすことは本当に大変です。そういった方に対するサポートサービスが充実しているかも選ぶ際のポイントになります。
フリーコンサルタントマッチングサービス
比較まとめ【5選】
ではここからは、前述のポイントを踏まえたおすすめサービス5選をご紹介します。
【1】High Performer Consultant(運営会社:INTLOOP株式会社)
High Performer Consultantのサービスサイト
https://www.high-performer.jp/consultant/
【案件数】
298件(2018年10月24日現在)
【案件の種類】
特に記載なし
【案件の質】報酬の平均や条件など
上場企業から直接発注される案件が多いため(直請け案件)、フリーのコンサルタント・ITエンジニアに対し高待遇・高報酬の案件を紹介することが可能。
【その他】
・福利厚生サービス
企業に属していなくても加入できる福利厚生サービスを用意。
・税理士紹介サービス
税務業務を支援する税理士を紹介。確定申告等の煩雑な業務は税理士に任せることで、案件に集中して取り組むことが可能。
【2】FreeConsultant.jp(運営会社:株式会社みらいワークス)
FreeConsultant.jpのサービスサイト
https://freeconsultant.jp/
【案件数】
約120件
【案件の種類】
システム構築プロジェクトの上流工程(要件定義など)、PM、PMOを中心に各種戦略策定や新規事業開発、業務改革・BPRなどの案件が主となる。
【案件の質】報酬の平均や条件など
半数以上が100万円以上の優良コンサル案件。150万円/月以上の高額案件も全体の10%を占めている。
【その他】
・クライアント交歓会
フリーコンサルタントとクライアントが直接意見交換をする会。
・登録コンサルタントの交流会(みらコミュ):毎月1回開催
オンライン交流ネットワークにも参加可能。
その他
・キャリア女性支援サービス
・英語力UPトレーニングの無料体験レッスン
・経理事務代行
・税理士紹介
・法人設立アドバイス
などのサービスを提供。
【3】案件サーチ(運営会社:株式会社ヒューマン・コネクト)
案件サーチのサービスサイト
https://anken-search.jp/
【案件数】
過去案件:該当141件(2018年10月24日現在)
【案件の種類】
- 人事系ERP案件(56%)
- タレントマネジメントシステム案件(11%)
- 人事制度・業務設計案件(9%)
- PMO案件(13%)
- その他(11%)
案件のうち、70%以上が人事系案件であることが大きな特徴。SAP(HCM)・ORACLE・COMPANY等のERPパッケージ導入やSuccessFactors・Workday等のタレントマネジメントシステム導入案件や人事制度・人事業務改革案件など、多くの人事案件を紹介している。
【案件の質】報酬の平均や条件など
月額案件報酬は100万以上の案件がほぼ90%を占めている。
【その他】
・事前面談の実施
コンサルティングファームでのマネジメント経験を豊富に持つコンサルタントがコンサルタントと直接面談を行い、職務経歴、得意分野、希望の報酬額などの要望をヒアリング。面談の内容を踏まえ、プロジェクトが求める要件とマッチしているかどうか検討し、適切な案件を提案。
【4】BTCエージェント for コンサルタント
(運営会社:株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング)
BTCエージェントのサービスサイト
https://freeconsultant.btcagent.jp/
【案件数】
案件:559件
過去案件:該当141件
(2018年10月24日現在)
【案件の種類】
「戦略コンサルタント」「業務コンサルタント」「ITコンサルタント」「PMO(プロジェクト管理)」など
【案件の質】報酬の平均や条件など
最高単価 240万円
平均単価147万円
【その他】
・専任のキャリアコンサルタントへの相談
・エンジニアからコンサルタントへの転身もサポート
・税理士紹介サービス
【5】Project BASE(運営会社:株式会社Konnect)
Project BASEのサービスサイト
https://projectbase.jp/
【案件の種類】
- 戦略策定(12%)
- 業務・組織設定(16%)
- IT導入要件定義・設計(21%)
- PMO(38%)
- その他(13%)
PM・PMO案件を中心に戦略策定、業務改善・BPR、ITグランドデザイン、システム構築における要件定義・設計、移行リードなど幅広い案件が特徴。
【案件の質】報酬の平均や条件など
- 150万円/月〜(22%)
- 100万円/月以上〜150万円/月未満(42%)
- 100万円/月未満(36%)
100万/月以上〜150万/月未満が中心だが、150万/月以上の高額案件も22%存在。中には300万/人月で成約した案件も存在する。
【その他】
・報酬単価シュミレーター
前職や自分の専門領域などの情報を入力するだけで、予想される報酬単価をその場で算出することが可能。
・交流会
フリーランスのコンサルタント向け勉強会や交流会を開催。
コンサルタント同士の親交を深めるのはもちろんのこと、ゲストを招いたトークセッションでは、業界の最新動向やウラ話といった、日頃の業務では接することの少ない情報に触れる機会を提供。
【最後に】フリーコンサルタントマッチングサービス比較まとめ
この記事ではフリーランスとして活躍するコンサルタント向け、案件マッチングサービスをまとめ、ご紹介しました。
すでにフリーコンサルタントとして活動されている方だけでなく、これから独立し、フリーランスのコンサルタントへの転身を考えている方にとって、少しでもご参考になれば幸いです。
コンサルタント同士の横のつながりだけでなく、こうした案件マッチングのサービスを積極的に活用し、ご自身のキャリアアップにつながる案件を上手く獲得していきましょう。