インタビュー: 外部の専門家が地域の人を巻き込み、地方創生を推進していくことが重要(堺井啓公様)

近年、地方創生に向けた事業が増えてきています。
今回、内閣府地方創生推進事務局総括参事官である堺井啓公様に、地方創生における現在の課題などについて伺いました。

堺井啓公様のプロフィール
大阪府出身(福井県大野市生まれ)
内閣府地方創生推進事務局総括参事官
・1990年通商産業省(現経済産業省)入省
・1999年在フィリピン日本大使館(一等書記官)勤務
・2003年宮城県産業経済部次長として県独自の経済対策や楽天野球団の誘致に尽力
・2012年1月より民間企業経験(旭硝子にて機能性薄板ガラス、太陽光発電営業担当、新事業開拓担当など)
・2013年7月より2015年ミラノ国際博覧会の経産省の担当室長としてミラノ博日本政府館の建築、展示、運営の企画などに従事。特にジャパンデーの『東北復興祭りパレード』については企画及び資金獲得に全力を傾けた。ミラノ博では政府副代表に、また、国際機関BIE(世界博覧会事務局)の日本政府代表にも就き博覧会全般にも関わった。
・2017年7月より現職

地方創生に関する交付金について

地方創生推進交付金とはどういった内容でしょうか?

まず、地方創生という言葉は、平成27年度に出てきました。最初は「地方創生先行型交付金」という名前で、スキームも今とは少し違い、プロジェクトに対して100%補助の交付金を出していました。その後、内容の見直しを行い、平成28年度に「地方創生推進交付金」という今の交付金制度が設けられました。これは年間1000億円の予算をとっています。1/2補助の交付金制度ですが、地方財政措置があり、地方交付税不交付団体であれば約9割補助の制度になります。3~5年の地域再生計画をもとに毎年設定したプロジェクトが当初に採択されるものになります。それを、毎年、PDCAを回してプロジェクト内容の見直しを行います。これにより目標を修正したり、プロジェクト内容を変えたりといったことが発生します。

交付対象は、自治体が考えて申請してきたプロジェクトのみです。プロジェクトの主体は民間企業などであってもかまいません。

この交付金が、国の予算として特に珍しい点は、各省の施策で行き届かない部分を含めたプロジェクト全体を対象としています。例えば、地域のある課題において各役所の施策を実行しても、一部分を手当するだけで終わってしまうこともあります。そこも包含し、あるいは、棲み分けてできない部分は全て交付金で実施するということができ、かつ、単年度ではなく3~5年のプロジェクトに対し計画的にお金を出し続けられる、といった予算です。

– この交付金の利用率はどのくらいありますか?

地方創生推進交付金の利用率については、今年度の予算が1000億円のうち、第1回目の公募で既に600億円分のプロジェクトが採択されており、今年度はあと2回の公募をかけるので、最終的に余る資金はないくらい利用率は非常に高いと言えます。

私の想いとしては、この交付金は非常に大きな予算がつくため、お金がないから地方創生に資する取り組みを諦めてしまうのではなく、十分に何ができるかを考え尽くし、資金が必要ならばこの交付金を活用いただきたいと考えています。また、地域内で推進できる人がいないなら外から人を連れてくる、その人件費にもこの交付金を活用して実施してほしいと考えています。

今の地方創生における大きな課題

今の地方創生における大きな課題は何でしょうか?

現状の問題としては、東京一極集中の是正といっていますが、その要因として大きくは地域における下記2つが挙げられます。
・若者が働きたいと思う仕事が地域に無いため、地域を支えていく働き手が減少している
・地域での親が生業としてきた既存の産業を子供に継がせたくないという思いを持っている。

そのため、各地域で若者向けの雇用をどう増やすのか?既存の産業をどう魅力ある産業にするか?が課題となってきます。

特に重視されている施策は何でしょうか?

様々な課題を統合的に解決できる方法の一つとして交流人口を増やす動きがありますが、中でも、インバウンドの外国人観光客を地域に招き、2泊3日など一定期間滞在して楽しんで消費してもらう「体験サービス推進施策」が大事だと考えています。

これまでの施策では、せっかく旅行客に来てもらっても、満足できてお金を使うところがそこしかないのであれば、他の街へ行こうといった機会損失が起きています。苦労して呼んだならば、その地域で次々と満足する体験をしてもらってお金を使ってもらうような取り組みが、農業、林業、水産業、製造業、自然アクティビティーサポートのサービス業、文化鑑賞サポートのサービス業など街の色んな産業の方々を巻き込みながら街全体でできるといいなと思います。

人口減少が進む中、移住促進による住民数増加や地域活性化といった施策は単独で成果を出すにはなかなか難しいと思います。ですが、このようにインバウンドで来てくれる人に地域を巡回いただき街中でサービスを提供することができれば、地域の経済効果が出てきますし、それに伴って、サービスの質の確保、語学対応などで若者の雇用が必要になってくると思っています。

さらには、高齢者や女性の一時的な就労の機会も作り出すことになるでしょう。これはいわば新しい産業分野をつくることになるので、地域で所得も増え、また、観光客がたくさん来るので街に活気が出てきます。その上で、若者の雇用も増えてくると一時的定住から始まりそれが移住になる可能性が多くなると思います。

地方創生に成功したモデルはありますか?

まだ途上のプロジェクトが多いというのが現状ですが、地域で取り組んで成果を上げている事業はいろいろあります。

この地方創生推進交付金の活用事例とは限りませんが、商店街の活性化に向け、公募で来られた外部の人が地域の人と一緒に商店街の再編を行い、新しい雇用の場の創設やお客様の動線を大きく変えたりして大変良くなった、という事例はあります。既に自走しており、こういった事例には一般のお客様はもちろんのこと、視察目的の方も訪れています。

プロジェクト計画を立て、推進できる人がいない

課題を解決するために、お金・人をどのようにどれだけ投入すれば実現できるのかを考え、それをプロジェクトに落とし込み、各地域で実行していく必要があります。

実際に、地方創生のプロジェクト計画を立てて実行するのは自治体に期待していますが、必ずしも自治体が自分たちだけでできるとは限りません。そこで、外部の人の力を借りることも大事になってきます。地域創生は容易ではないので、地域を変えるような取り組みの経験のある人が必要です。

専門ノウハウを持った外部の人が、その地域の課題を解決するためのプロジェクトを考え、地元の人を巻き込み、自治体と一緒になって実行していくことが重要だと考えています。

地域の人材教育も大切です。外部の人に来てもらってプロジェクトを回しながら教育していくのでも良いですし、地域の人が自主的に教育を受けにいくのも良いと思います。

自慢できる街、住みたいと思う街にしたい

堺井様が考える地方創生の在り方とは?

その地域に特徴があると思えない、魅力を感じないなどの理由で、自分が育った地域から出て行ってしまう傾向が続いています。

自分の街のいいところを自慢できる、そういう街にしていきたいですね。

その地域にいるとハッピーで元気になれる、取り組みに参加したくなる、そして、そこに暮らしたいと思う、そんな地域にしていくことが地方創生だと思います。

おわりに

株式会社アイキューブでは、地方創生支援プロジェクトも行っています。
お気軽にお問い合わせください。

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